2009年6月26日金曜日

家・Ⅰ

今住んでいる家を家だと認識したとき、そこには必ず幽霊がいるはずだ。 
その証拠に、私が今住んでいるアパートの一室も、前に住んでいたコンクリート壁の寮も、私は部屋と呼んでいるから幽霊は出ない。そのかわりごきぶりという現実的な害虫が、気配を毎晩六畳間の押入れと棚のすきまや、シンクの底あたりから漂わせて、私を怯えさせる。この害虫は私の掃除の行き届かなさと、安い家賃の古い部屋に我慢して暮らしている(本当は綺麗なバスタブとピアノが置けるくらいの広間が欲しい)小さじ程度のみじめさを、じわじわと責め立てる。あああ、自分の怠惰と至らなさにつけ込む醜悪な虫。虫の妖怪。妖怪だから2ミリの隙間で部屋を住処に変えられる。
気配と、住処にしていることで気味が悪い点は、幽霊と同じだし、そうじゃなきゃ奴らの存在は確立しない。
私は幽霊を見たことがない。勿論、取り付かれて悪いことが起こったり、祟られたりすることはないし、彼らが半透明なのか、喋れるのか、そもそもコミュニケーションがどれくらいとれるのか、そういうことも解らない。それでも幽霊はいるはずだ。幽霊が視覚を伴わずに現れるとすれば、私は家で変な音を聞くし、よくわからない匂いをかぐこともある。大体、幽霊を見ない人というのは、きっと頭が固いか、私のように頭の中がせわしなくて自分の考えていることで精一杯な人間に違いない。幽霊がいても気づかないたちなのだと思う。
とにかく、幽霊は家にいる。その家には家庭があって、日々生活をして笑ったり怒ったりしていて、たとえば天井の木目が老人の横顔のように見えたり、母親に怒鳴られるときは必ず床のしみを見つめて数をかぞえたりすることをしている。そういうのが家だし、それは人が住み変わったり、空き家になったとしても変わらない。住んでいる人が、それぞれの家の住み心地を見つけて、家に伴う感触が身体に記憶されれば、私たちは幽霊を感じることができる。

2009年6月4日木曜日

ロシアが旬です





私はこの世で一番好きな建物はモスクワにあるワシリー寺院(テトリスのパッケージにもなってます)で、文化祭もワシリーがテーマで作ってやろうと意気込んでおります。ともあれ、マトリョーシカも好きだし、ロシア(旧ソ連)あたりはかなり好きな文化圏。やっぱり寒い国の美術や民族衣装は良いなあ、とこないだヘルシンキとタリン観光して思いました。ロシア正教の教会は、すごく深く厳か。今もしっかり生活に根付いてしまってるのがすごいです。

そしてどうやら、トレンドも次の秋冬はかなりロシアがくるようで。
経済危機前まではかなり羽振りのいい国だったし、今もわりと購買意欲は衰えてないとかいないとか。
エスニックは常にアクセント的に毎年マイナーチェンジしつつ流行っていると思うんですが、次はロシアおよびビザンツ圏のフォークロアみたいです。
ガリアーノは東欧~バルカンを中心とした民族衣装をベースにしていて、個人的にかなり可愛いと思ったんですが、KENZOもテーマはずばりロシアで、コレクションのインビテーションカードもマトリョーシカだったみたい。こちらはあったかそうなニットウェア多数。他にも、ロシア構成主義のイメージで作っていたのが、線で魅せたクリストファー・ケインらしい。探せば他にもいろいろ出てくるはず。

でもトレンドセッターはおそらくシャネルの、昨年12月のメティエダール・コレクション「パリーモスクワ」。
シャネルもサングラス白ちょんまげおじさんも、ブランディングが完璧すぎて、保守的で商業的なイメージが強くて、そんなに好きではなかったんですが、これ見て「腐ってもシャネルだなあ・・・」と惚れ惚れしました。
シャネルって購買層も広いし、あまり何らかのイメージが強く反映されていない印象があって、今回みたいな民族風のって、らしくない気もしたんですが。
しかしながら、一点一点のアイテムは、シャネルのイメージと形をくずさずにいながらもロシアなモチーフがぎっしり詰め込まれています。
これ秀逸だなあ、と思ったのが、赤いベルトのルックではいているシューズ。おそらくベルベットのような素材で、ダブルストラップ、ヘリにはラインストーンらしきキラキラ、そしてヒールが玉ねぎ型ドーム(さかさま)なのですよ!!!
ほ、ほしいよ・・・。たしか10万くらいですが。。。
左の服も、柄はワシリーのような、ロシア教会のドーム。赤をうまく取り入れつつ、小物はジュエリーみたいなバッグ(マトリョーシカとか、ビザンツ風クロスモチーフの総ストーンのものとか)だし、ジュエリーも首巻きかってくらいのネックレスや、チェーンを垂らした大振りのもの中心。キルティングのバッグの刺繍が、ドーム型になっていたり。
そしてなにより、あの大きな頭飾りのせいなのか、シャネルというブランドゆえなのか、貯蓄せず今日の消費、見栄っ張りでゴージャスなものを好むといわれる現代のロシア人女性のイメージすらも表現されている気もします。特に最後のキラキラドレスあたり・・・。。実際、ロシアでのシャネルの売れ行きはなお好調のようで、ラブコールの意をこめて、という見方もできるのですが。

2009年6月2日火曜日

KIKKA&KITTEN


http://www.kikkankitten.blogspot.com/

ミラノ産のねこ。
coooooooooooooooooooooooooooooooooooool!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ファンシーグッズではなくてプロダクトデザインですな。
ラインストーンが顔についてたり、ぼうしかぶってたり、大きいやつがいたりもします。
集合体になったり、分散したり、並列させていくとやたらかわいさとモダンさとコンセプチュアル感が増してきます。
日本上陸求む!!

2009年6月1日月曜日

MASKA

先週のライブも運良く雨にまけず、ハッピーに終了し、その前の日は銀座で素敵なパフォーマンスみたり、割と課題もなんとかしつつ、って感じですが。

こないだの火曜、木曜にWS,土曜日にはパフォーマンスを行ったスロベニアのMASKA
http://www.maska.si/
http://www.maska.si/en/productions/performing_arts/ptih_irena_tomazin_hanna_preuss/

参加&拝見しました。
ディレクターのIrenaさん、パフォーマーのHannaさんとプロデューサーTinaさんの女性3名が来日して、3週間は京都、先週はナンゾなどでお世話になっている東中野のRAFTに滞在してました。

Irenaさんはサウンドアーティスト、Hannaさんはボイス主体の身体表現。
木曜のWSに参加しましたが、割とベーシックな内容でした。日常(朝起きたとき)に聞こえた音についてのディスカッション、暗闇で音楽を聴く、数秒の音(衝撃音、抽象音、具体音など)を聞いて、一人一人がその音に対して、身体で反応および解釈すること、最後にエフェクトのかかったマイクで即興ライブ。
私なんかはダンサーじゃないのでインプロのような即座の身体表現は、精度も表現力も乏しいのですが、音を解釈するということは、決してそういうことではないなと思いました。bugメンバーのノザワさんは、彼のもつ間がパフォーマンスに現れていて、その良さが伝わっていたようです。

パフォーマンス「Ptih!」は45分の、今回の来日で作った作品。パフォーマーが薄い布の幕の裏から現れて、エモーショナルなボイスと身体表現を行い、ディレクターがリアルタイムで音響制御&エフェクトを行うというもの。
周りで出た感想は評価が二分していた感じもありますが、私は好きです。エモーショナルな表現が多く、パフォーマーの個性が強く出る構造だから、好み左右されるものだと思いますが。確かに、抜け感のあるシーンも見たかった。
しかしながら、今後育って進化していく類の作品だろうし、冒頭に暗闇から見える赤いレーザーキューブとか、さりげなくペイントされた布とか、そういう細部のデザインはかっこいい!!
EUの、特にマイナーな地域のオルタナティブな作品って、こういうシンプルで、最先端ではないけどザクッときまってる感じ?すごくクールだと思います。
そして、30人は下らないお客さん。RAFTは大入りでした。在日の旧ユーゴ圏?らしき出身の外国人もたくさん来ていて、ちびっこも2人!普段こういうところに子供は来ないけど、親子で見に来てる空間って、素敵。きっと脳裏に焼きついたはず。。。


英会話能力がさらなる下降線をたどっていて、苦労。
なんとかbug-depayseのDVDを手渡しして、海外へ渡ったことと思いますが、今後もこういう団体の公演はどんどんやってほしいし、コネクトしていきたいのがこちら側の希望でございます。うちのグループの作品、海外で上演しても全然いける、と思う。。。笑

2009年5月24日日曜日

きょう

日比谷パティオ・野外ライブに出演決定!

Alphactが日比谷パティオで行われる『HIBIY-AKARI PATIO×LIVE』で、パフォーマンスライブをいたします。
[出演] ASK / 金刺わたる / 天野弓彦
■会場 日比谷パティオ
    ・JR「有楽町」駅徒歩4分 ・東京メトロ 千代田線・日比谷線 「日比谷」駅 徒歩1分(A5、A11出口)
■日程 2009年5月24日(日) 13:00~ / 15:00~ (それぞれ40分 2ステージ)
■料金 無料 ※小雨決行

■お問い合わせ 日比谷パティオ運営事務局 Tel:03-3581-9820(平日10:00-17:00)

2009年5月22日金曜日

ドレープ

一週間弱で、askの風香さんの衣装を作っている。
ちょこっと手直しと当日の手伝いのつもりでいたけど、手直しどころか一着さくっと作っちゃうつもり。
さくっと・・・はなかなかいかないものです。
学校では立体裁断はまだ習っていないし(海外および業界では主流だけど、うちの学校は平面作図中心に教えているのです)、うちにはトルソーすらないので、ドレープ云々について、実はまだ深く考えていないなあ。と反省。
「ひらひら風になびいてくれるみのむしみたいなかざり」なるものを頼まれて、もらったターコイズ色のジョーゼットをいじっくっていますが、みのむしにやや心奪われつつも、布のもつほんらいのしなやかさや柔らかさを生かすのは大事だと思う今日です。命かける職人たちがいるだけありますな。

あーなかなかうまくいかない!!日曜日に日比谷公園のパティオでお目見えなのに!!

2009年5月17日日曜日

はかりにかける

ファッションの本質は2つの相反要素が含まれている、と考えています。
社会学的、哲学的に見てどうなのかは知識不足でなんとも言えませんが。言葉も足らないし。
学校に通い始めてからの見聞と、不況の社会・経済情勢なんぞを肌で感じる昨今だからでしょうかねえ・・・

一つは、資本主義的体系に基づく、欲望そのものであり、本質的に非エコロジカルで、交戦的で、社会的だなあと。記号的で、商品としての価値をもったもの。
もう一つは、歴史や記憶、祝祭や儀礼、信仰心といった人間の生活および人生に機能してくる財産であり、道具であり、「モノ」として、個人に還元されるもの。

不器用で手癖のついてない私が学校行こうかなあ、と思った理由の一つが、ファッションは身体を最も直接的に侵食するメディアだからで、特に女性が持つ身体という厄介な自己イメージなるものに、大きな影響力を持っているのが面白いなあと思ってたからです。

でもそんな感じで半端に考えを巡らせているだけでは、実際の技術はなかなかつかず。
就職やらありますし、専門学校のもつ空気に未だしっくり嵌らない状況なのですが。
服飾ひとつとっても、知るべきこと、身につけることが多すぎる・・・
働けば、アパレルというビジネスでしかないシビアで体力勝負な世界(のはず)で、適応能力がそもそもなさげな自分は、どう折り合いをつけるかを考えなきゃならんのですよ。
大学の就職以上にシビア。リセットはできないし、手元には自由な選択肢を作れる大金もない。
自分の本能が何か分かればいいんですが、例えば周りの人みたいに必然的に創作表現をしてしまうタイプではないし、かといってビジネスと割り切って仕事のみをスマートにこなすほどまだ腹は括れないし。一つのことのみをライフワークとしてやれればそれが一番ですけど、私は結構雑食型で、好奇心あるけど、それぞれを突き詰められるほど器用じゃないのよね。
プロ志向というか、生涯通して一つのことだけできればいい風潮って嫌いなのですよ(その考えを改めれば日本の雇用問題は解消できるはずし、多角的な思考と優しさを持った人間が増えると信じてます)。つまみ食いで何が悪いのかしら?

まあ、それはさておき、どちらにせよ、なにかしらの知識や技術に特化しないと、3年間のカリキュラムを満足に消化できないということです。学費が自費なだけに、身に沁みます。勿体無いことはしてはいけません。自由な時間の大切さは、同い年の頑張って働いている友人たちが良く知っていることです。