2008年11月26日水曜日

白い天井にごきぶりが逆さで這っていた。
黒光りしているから、かなりの存在感を示しており、実際体は5センチくらい。
やつは2時間近く、狭い天井を行ったりきたりして、壁や床、私には近づくことはなかった。
真下にいるのは不安だけど、とりあえず様子を伺う。
こいつの触覚は長い。2倍強の長さはあり、細くても人間の髪の毛というよりはワイヤーのようだった。
そして、不規則に歩行を止めても、触角は常に身体の前方上方をしきりに手探りし、人間の視野ほどの領域の危険を察知できるかもしれない。
アンテナだった。猫のひげのように、敏感な皮膚のおまけではなく、触角は独立した器官として、根元から360度回転させることができるんじゃなかろうか。電波をキャッチできる巨大なアンテナと皿の動きで。

ごきぶりの気味悪さは、このアンテナによるところが大きいはずだ。
アンテナはごきぶりの身体が拡張されて体長が2倍増しに思えて近づけず、しかも人間に持ってないそれが異様に発達してるのだから。

ごきぶりがエイリアンだったり、エイリアンの仕向けた調査機だったりするエピソードは妙に納得できる。もし人類が、こいつらと手を組み知覚共有して、携帯のように一人につき一匹づつ、拡張メディアとして所有できればすさまじい進歩かもしれない。

地球の生物の種類も個体数も、一番多いのは(半分以上?)昆虫や節足動物なので、地球の主役はあいつらかもしれない。もし戦争したとして、虐殺した数は人間が勝つだろうけど、人間を殺さず文明を破壊することは容易だと思うので、勝利はごきぶり様かもしれない。

2008年11月12日水曜日

しゃれこうべと白い部屋

その1: 何人かと山奥(木のかんじは杉とか北の山並み)まで出かける。天気は雨が降った直後のような、湿った曇り。 古いばっちい日本家屋のようなつくりで、高さは3階以上あって、塔かなにかかもしれない。中は散らかっていて、誰かが生活していてもおかしくはない。本、埃、家具、食器…建物の中心をなす階段の幅は狭く、四つんばいで私は上っている。すると目の前には染みだらけの掛け軸か巻物があり、それがひとりでにくるくると広がって、やや小ぶりの、しゃれこうべが現れた。しゃれこうべはカチカチ歯を鳴らして、私を招くように階段を上っていく。私はそれについていくと、カチカチ歯を鳴らす音が大きくなった気がする。ふと建物から外を見下ろすと、そこは川縁の茂みになっていて、なにやら大勢のしゃれこうべが戯れている。このしゃれこうべはメキシコのガイコツみたいで、真っ赤と真っ青だった。レゴブロックのようなものでできた、柱ばかりの黄色い城(サグラダファミリアみたいなかんじ)が奴らの脇にある。 私の目の前にいたしゃれこうべ(これは普通の色)は、なにやら嬉しそうにぴょんと階段から外へダイブして、ガイコツの戯れに混じって、城を巣のようにしていた。

その2: 男女何人かぶん(がんばれば10人から20人が入るだろう)の寝床として使われる部屋がある。寝床といっても、コンクリート打ちっ放しの壁と床、白い仕切のカーテンと、壁一面に並んだ大きなロッカー。窓はなく、全体が白く蛍光灯で照らされており、つめたく乾燥した部屋である。そしてそこを使う男女は、皆全裸で過ごしている。別に恥ずかしく思わず、ごくごく自然に、場所を譲り合い、寝ころがったり会話したりしている。一番広い、唯一のベッドは一番年上の男性が使っている。その隣は男性と仲の良い若い青年の場所があてがわれている。私もこの部屋を使う。そしてこの男性2人とは知り合いだが、私は遠慮し、その資格がないからと広いスペースで眠ることは諦めた。多分私の立場は低い。だから壁のロッカーのうちの一つを使うことにした。このロッカーは縦長で、ひざを折り曲げて身体を狭苦しくしまい込まねばならない。とても眠れた代物ではなく、このロッカーはむしろ男女2人がこっそり逢い引き(随分窮屈なので定かではない)か、寄り添って過ごすために使われる場所らしい。私はロッカーのうちの一つに入る。案の定知らない人間と一緒になった。男性だと思うが、ずいぶん中性的で、細く、顔もはっきりとわからない。しょうがないと思いながら、ぴったり身体をくっつけて、いちおう挨拶のキスをして、ロッカーで居心地悪く過ごした。

翠の断片

自分にとって緑色は死のイメージらしい そして自分の部屋の寝床はロフトで、窓がでかいので 私の夢の視点は高く、窓を眺めることが多いのだが、 緑色のイメージの男が、窓の外で首を吊っていた ロープが振り子のようにぐにゃんぐにゃんと揺れていて でもってその男はとても身近で大事な人だったらしく ひどくショックだった そしたら黄色いイメージの男が なぐさめてくれたのだった 私の髪は現実と違い長く、ウェーブで、腕も細かった 自信をもってハグとキスができる でもよく覚えていない ほかの夢事象としては 母親が精神病院に入院するのを見届けるとか 気味悪いことにそれが父の実家だったり でもって実家の猫のぐれさんも最近現れる こないだはカラスにいじめられ足を怪我していた ある時はカメレオンみたいに変色できていた すごく小さくなったりもする こいつが地上から消えるときは、私とこいつの生きてきた時間がすっぽり無くなるきがする なにもなくなる気がするのだ 部屋の荒れ方はすさまじい 部屋は自身の欲求と不足が暗示されるものだというので これが私のシンプルな情報なのだと思う ほんとはピンクのガイコツで祭壇を作ってみたい 眠りの百年王国!!

エルモア、幽霊のマンション

これも2年前のもの。私が深刻になるほどに、夢はどんどん完成されてゆくものだ。

家族とマンションの5階に住むことになった。 場所は東池袋か、表参道か、よくわからないけど都心の大通りに面した高層マンションである。 近くには古い小学校と、路面店と、大きなビルがある。マンションの3階までがホテルらしい。マンションの通路は赤い絨毯で、いろんな人が行き交っている。 5階の部屋は、居心地が良い大きなダイニングがある。しかし他に部屋は見つからない。
家族が引っ越してしばらくしてから、私も同居した。 しかし、このマンションでは、昨年に私と同年代くらいの女性が飛び降り自殺をしたらしいと聞く。彼女の名前は確かエルモアとか、そんな名前で、外国人。東南アジア系の人かもしれないが、黒い長い髪で、掘りが深くて西洋人みたいだったとか。緑色の服をワードローブにしていた。 どこの部屋に住んでいたんだろう…。もしかするとこの部屋だったかもしれない。どうやら、この部屋の本棚は自殺した彼女の所有していたものらしい。ぞっとする。 私は、彼女がなぜ死んでしまったのか考えていた。そしていつのまにか彼女にシンパシーを感じて、私は彼女に会いたいと思う。そして彼女が幽霊としてマンションのどこかを彷徨っているに違いないと思う。実際、幽霊の噂がマンションで飛び交っていた。 私は幽霊を見たことがなく、霊感もないので、幽霊の彼女に遭遇することを恐れた。しかし、そう思い始めた途端、得体の知れない気配を感じるようになる。 例えば、部屋のドアの前の通路を、女性の足が何度も通り過ぎる気がしたり、マンションのいたるところで人影を見るが、すぐに消えてしまったりする。また私や家族の知人が部屋を訪れるときに、しばしば部屋が見つからないことがあり、知らないうちに表札が違うものに入れ替わっていたりもした。 さらには、寝付きが凄く悪く金縛りにあったり、誰も使っていないのに風呂場やトイレで水音が聞こえるようになった。 そういった気配がだんだん強くなり、気配だけでなく、実体として、彼女らしい女性の影を見るようになった。私は追いつめられた気分になる。 もしかして、この部屋に彼女が住んでいたのかも、引っ越した時期を考えるとその可能性も高い。でも飛び降りたのは5階から?少し低いのでは?それとも屋上だったのかしら?と考える。でもそもそもなんで死んだのか?辛いことって何だったんだろう?いろいろ思いをめぐらしてみる。そしてだんだん自分の気持ちと、彼女への想像が混ざり合ってくる。彼女みたく辛い死にたい状況に自分がいるような気さえした。もしくは彼女は私に死んで欲しいのか? ある日、私がロフトにあるベッドで目を覚まし、身体を起こすと部屋に知人が来ていた。知人の彼女は外国人の友人を紹介したいという。 「彼女はエルモア。アーティストなの…」 名前を聞いた途端、はっとしてその外国人を凝視するが、その先はよく覚えていない。

***

同じ夢で見た別のもの
・部屋にあるベランダに出る窓をみると、目の前にはコンクリートの湾があり、暗い青い海がひろがっていた。部屋には沢山の人がいて、窓を眺めている。水族館のように、オルカが目の前で泳ぎ、尾ひれを翻した。水が窓一面にかかり、尾ひれは窓ガラスを叩いた。割れそうで私は心配したが、ベランダが水びだしになっただけで済んだらしい。しかし私は窓は決して開けてはなるまいと思う。
・部屋には、知人の多くが訪れたが、ほとんどが30代以上で、恩師や歳の離れた知り合いばかりがやってきて、家族と話し込んでいた。私は嬉しかったが、なぜか亡くなった祖父が生きていて、しかも若く(65歳くらい)、東京で仕事して稼いでいるという話を聞いた。でも私は納得し、祖父なら稼げる手腕があるだろうと思う。
・なぜか私の夢には、浴室やトイレが頻繁に出てくる。公衆のものも多く、湯気だらけの大浴場や、コンクリートの学校のトイレなんかも。

幽霊とは「もはや手に入らないものの本質」であるらしい 夢占いより。

赤毛の人魚

2年ちかく前のもの。
このころの気分に戻ってきてしまったのだ。

彼女はどこかにあるお城のなかの、ひとつの部屋に住わされています。部屋といっても、絨毯やベッドはありません。そこはおそらく大浴場として使われるべき場所で、全体的に白っぽく、壁はタイル張り、床もコンクリートみたいな固い灰色で、だだっ広くがらんとした空間です。彼女はこの部屋から出ることは許可されていなくて、何時もぼんやりとここに佇んでいるばかりなのですが、天井には丸い大きな天窓があり、そこから木漏れ日が射し込み、人の話し声や雨音をたまに聞き取ることができます。 彼女は赤茶けた髪を背中の下まで伸ばし、日に焼けない肌は陶器みたいで、その上半身をむき出しにしたまま、床をひきずる長さの腰布のみを身に付けて暮らしています。そして眼はいつも潤んでいます。唇はものを言いたくても言葉を知らないといったふうな、中途半端に結ばれた表情をしています。 天窓のある辺りは、外ではお城の庭の芝生です。城にあつまる裕福な女性たちが、昼間にそこで会話を楽しんだあと、彼女を見に天窓にたむろします。女性達は厚く歪んだガラスの下にいる彼女の様子を眺め、間抜けな表情であるとか、歩き方がぎこちないだとか、髪の毛が呪われた色だとか、そういった揶揄で盛り上がり、天窓を尖ったヒールでがしゃがしゃ叩いて、それに驚く彼女を笑い者にします。 彼女はこのノイズにうんざりしていて、ひどくみじめな気分になります。 「ねえさまがた、やめてちょうだい」 と天窓へ呼び掛けるのですが、一向にやむ様子はありませんでした。 でも本当のことを言うと、そのねえさまがたがどんなに肌の手入れをし、着飾っても、彼女のほうが歴然と、作り物のように美しかったのです。寧ろねえさまがたがあまりにも醜いのです。 たまに、部屋にはご主人ー部屋の主で、おそらく城の持ち主である王子様かなにかでしょうかーが現れます。彼は濃いブルーやえんじ色の立派な洋服を召しており、金髪の聡明な表情の男性です。彼女をどこからか見つけ、住わせることを決めたのは彼です。彼は彼女の美しさを承知しています。でも彼女のことを恐れてもいますのでせ、決して優しい言葉も、そぶりも見せることはなく、厳格そうな態度と手付きで彼女に接しています。 彼女がここに住むにあたり、彼はひとつの条件を課していました。 部屋を訪れる際は、彼はよく切れる、ぎざぎざのナイフを手にしています。そして彼女と対面するやいなや、彼女の1枚きりの腰布をとるように命じます。彼女はにこりともせず、怯えもせず、だまって腰布を床に落とします。 脚が2本あるかわりに、その中身は、魚の胴体からひれ、尻尾にかけての部分です。 ちょうど腰骨のあたりから、陶器の肌は魚のなまめかしく光る皮膚に変わっています。鱗はなく、何色ともとれない色なのですが、その皮膚もまた、手に触れたくなるきれいな質感です。腰からひれが2つ生えており、尻尾の付け根でバランスをとって立つことができました。 彼女は部屋のすみの、仕切られた空間(おそらくシャワー室かなにかでしょう。いずれにせよこの後に床を洗い流す必要がありましたから)で身体を横たえます。彼はそこで、ナイフを取り出し、魚の皮膚に、刃をゆっくり、食い込ませます。そうして適当な大きさの肉を、切り取ります。彼女には案外痛みはないようで、彼の条件にはこうしていやがらずに応じています。肉をいくらか失ったところですぐ傷は治ってしまうようです。 彼は切り取ったままの肉を、残さず口に運びます。 「にんぎょのにくは、わたしをきれいなままにしてくれるのだ」 と彼女は耳にしています。
あるとき、いつもは天窓から彼女を眺めていた女性たちも、彼と一緒に部屋を訪れました。彼のまわりを取り巻き、ぺちゃぺちゃとおしゃべりをふりまいています。いつもはしんとした部屋も、このときだけは異様なほど賑やかになりました。 彼女らを目の前にしても、彼は、いつものように、ナイフをあて、肉を切り出して食べはじめました。すると彼女ら、一層騒ぎ立て、私を恐い目で見たり、彼に失望したり、気を失ったりするではありませんか。 肉を切り取ると、血を吹き出すかわりに、鮮やかな緑色の液体がたくさん流れ出すのですが、それはいつも水たまりのように、彼女の体全体と、彼の足元を覆います。いえ、水たまりというよりは、魚の彼女が水を欲していて、その望み相応くらいの緑の池ができあがったという感じです。この緑は彼女の赤い髪によく映えます。 肉は、白くとても柔らかく、噛み切る必要もないくらいで、バナナによく似ていました。肉そのものも、バナナのように細長い形で、傷口から顔を覗かせていました。だから肉を食べるのも、皮膚からバナナを取り出して食べるような、妙なものだと彼は言っていましたが、彼女自身はバナナが何なのか知りません。 いつもは、彼が肉を食べにくることを「ちょっと疲れること」として、彼女は大人しく過ごしていましたが、女性達がやってきたこのとき、彼女はとても困惑しました。彼女ら自身の望みを叶えるために、特別に彼は肉を食べることを許したようですが、彼女らときたら、ただ気味悪がるだけで、緑の池に近付けずにいました。彼といえば、そのことも、そしてこのときわずかに池で身をよじらせた彼女すらも気付かないふうに、黙々と肉を食べ続けています。ビロード生地のズボンの膝と、指10本が緑色に染まっています。 やがて彼女らも、おそるおそる、欲望に負けて、肉を食べはじめました。彼女らも緑色の指になりました。肉の味は定かではありませんが、緑の池も肉も、生臭いものかもしれません、おいしそうな顔はしていませんから。それでも、彼も彼女らも、肉を口に入れる様は、目が血走り、ひたすらそれに集中しているようで、歯が尖っているように見えます。 彼女は彼に対して、とても申し訳ない気持ちと、はずかしい気持ちで一杯でした。そして女性たちには、恨みはしないけれど、ヒールで窓を叩かれたことの100倍くらい、辱められているのだと、ぼんやりした頭で感じていました。 彼へは、ずっとなにか言いたい気分がありましたが、それを見つけようと口をすぼめていたうちに、とうとうその機会をなくしてしまったことも感じました。 彼女は、誰にも気付かれずに涙を流しました。その涙も緑色でしたので、すぐに池の一部になってしまいました。

***

やがて、誰もいなくなったあと、ひとり広い部屋のまんなかで、彼女はぐったりしながらも、起きだしました。全身がまだ緑色です。そのまま部屋の向こう側のすみへ歩き、天窓の下にうずくまりました。汚れのない白い壁に、ヤドカリが一匹、這っています。この子は、この部屋の秘密の住人で、彼女の唯一の話し合い手でした。話といっても、この子には口なんてものはありません。自身の立派なお城と、ナイーブな肉を覆う甲殻の2つの荷物だけです。彼女は、海に住んでいるものたちとは、コミュニケーションのとれる余地があると決め込んでいました。だから、このヤドカリとも、彼女なりの会話を楽しみます。 彼女はヤドカリをひょいと摘まみ上げ、口のなかにそっと放り込みます。そのまま、舌の上でその子を転がし、脚のささやかなリズムを感じ取ります。彼女は、それに対して舌と顎を上下させて、心地よく応じます。 「………………………。」 口のなかで、なつかしいしょっぱい味がしてきました。

toilet

ちょっと前なのであまり覚えていない。

公共のトイレに入る。尿を出す。ちょろちょろと。ドアが開く。ぬしたち友人たちがいる。にやけて私を外へ放り出す。(ああ、排尿の音さえ出さなければこんなことにならずにすんだのに!)

男たちが、部屋一面に寝そべって昼寝をしている。全身がタオルケットに覆われている。わたしは手前のタオルケットの中へ案内される。すると寝ていたのは友人オウルだ。これは昼寝の時間ではない。男性のための「排泄」の時間だった。オウルも左手を動かしている。私はそれを見たくない。でも私は、奉仕心なのか、親切なのか、愛情なのか、仕事が役に立てられると思って、片手をのばした。
彼の左肩へ飛んでしまったが、すやすやとやがて寝息を立て始めて、ほっとした。

北欧旅行

スウェーデンのどこかのちっこい街です。観光名所となっている世界遺産を見ました。そこにしか生えていないヘビカズラという植物と、宝物があります。そこは大きな東屋のように屋根だけがついており、でこぼこした白い砂地です。高さ20メートルほどの屋根には金箔張りの東洋風の絵が描かれており、豪奢です。砂地の少し高くなったところには、ヘビカズラが群生していて、そのふもとには一対の阿修羅(地蔵サイズ)がおいてあり、江戸時代に持ち込まれたものとされています(鎖国のご時世なので貴重らしいです)。また、白地に赤黄青緑金といった色遣いで唐草模様の描かれた、櫃のような棺桶が端にあります。おそらく殉教者のものでしょうが、キリストイスラム仏教3つを生涯に信じたとか何とか。 私は裸足でヘビカズラを見にいきました。ヘビカズラとは、蛇にそっくりの蔓草です。蔓の表面は蛇皮そっくりのでこぼこがあり、しかも先が蛇の頭そっくりに固く丸くなっています。そして色はさまざまで、ピンク、緑、赤、青、黄などの極彩色です。しかし、よくみるとピンクと緑の蔓はひとりでにうねうね動き、私に絡み付いてきました。どうやら本物らしく、私は近くの木にしがみついて足でふりほどこうとしました。 この2匹はダライアスツインの2ステージボス(empire fossile,queen fossile)にそっくりでした。ふぎゃあ!と思って木から転げおち、阿修羅像の近くに落っこちました。どうやら噛まれはしなかったよう。傍らを見ると、直径50センチほどの深い穴が開いています。その穴がこれら遺産の中でもっとも有名な、底なし穴です。深すぎて測定できない穴なので、落ちなくてよかったとほっとしました。 フィンランドの寂れた街にもいきました。本当に寂れていて、空は晴れていても、空気は冷え込み澱んでいます。見えるのはくすんだ低い建物と道路ばかり。街の中心は狭い丸い広場で、枯れた噴水のまわりがロータリーになっているためバスやタクシーが大量にぐるぐる回っています。それらの排気ガスでくずや木の葉も足元を周回しています。そしてこの街はすべてがスローペースに、人も乗り物も同じ方向にゆったり回っているかんじがして、視界がカメラのシャッターを長めにしたような、ぼんやりした残像になってきて最初は頭がくらくらしました。 とりあえず私は目の前の店に入りました。ガラス戸をあけると、中には照明ひとつない、ほこりの臭いがする古道具屋のようでした。店の奥には狭くて入れませんが、カウンターには禿げ頭の白髪の、おなかのでっぱったおっさんがいました。どちらかというと不健康そうで、首筋と手は筋張っています。冷え込んでいるのにニットのベスト一枚なので、手の甲や頬はやや赤紫になっていました。眼は薄い青で、にこやかとは程遠い、卑屈さと冷徹さを思わせる目つきがこの街の空気に合致してくるようです。私は手元のトレーに入った売り物のブレスレットをとりました。白と赤の丸いプラスチックのビーズで、数珠のようにいじり始めました。おっさんは、「これは60年代のものだ」とか何とか、言葉少なげに、かつ穿ったような態度でものを言ってきましたが、ビーズにはスマイルマークのような模様があり、どう見ても安物だし、自分の好みでないのがわかったのでそれをもとの場所に戻しました。このまま店を出ると非難がましい態度をとられそうなので、私は視線をおっさんのいる横、スエードの壁掛け一面にひっかけられたボヘミアン風のピアスを眺め、その中からワインレッドの羽根のついたもの、真鍮のプレートがついたものを選んでお土産にしました。 店を出ると、茶色いタクシーが泊まっていたのでホテルまで向かいました。この街は小さすぎてホテルも小規模で数少なく、中庭のあるところはないと説明されました。 ロータリーを抜けると、国道にでました。日本のどっかの国道にそっくりで、広い道の脇には大きな雑貨屋やレストランがところどころに現れます。日本から進出したのか、LOFTの黄色い建物が見えました。 15時を過ぎると外は暗くなり、ホテルに着きました。車が3台ほど停まるスペースがあり、ロビーはガラス越しに見えますが、テーブルやソファー、カウンターは暗い色で統一されており、薄暗いので寒々しさが抜けないような気がしました。車から降りると、ホテルの受付の年配の女性がにこやかに外に出て、出迎えてくれました。また、ロビーにこの時一人だけいた、5,6歳の少女も飛び跳ねてこちらへ向かってきました。赤のざっくり編んだマフラーと、少女のから元気な態度が、今日見たなかでいちばんあたたかそうなものだなあと感じました。