2008年11月12日水曜日

北欧旅行

スウェーデンのどこかのちっこい街です。観光名所となっている世界遺産を見ました。そこにしか生えていないヘビカズラという植物と、宝物があります。そこは大きな東屋のように屋根だけがついており、でこぼこした白い砂地です。高さ20メートルほどの屋根には金箔張りの東洋風の絵が描かれており、豪奢です。砂地の少し高くなったところには、ヘビカズラが群生していて、そのふもとには一対の阿修羅(地蔵サイズ)がおいてあり、江戸時代に持ち込まれたものとされています(鎖国のご時世なので貴重らしいです)。また、白地に赤黄青緑金といった色遣いで唐草模様の描かれた、櫃のような棺桶が端にあります。おそらく殉教者のものでしょうが、キリストイスラム仏教3つを生涯に信じたとか何とか。 私は裸足でヘビカズラを見にいきました。ヘビカズラとは、蛇にそっくりの蔓草です。蔓の表面は蛇皮そっくりのでこぼこがあり、しかも先が蛇の頭そっくりに固く丸くなっています。そして色はさまざまで、ピンク、緑、赤、青、黄などの極彩色です。しかし、よくみるとピンクと緑の蔓はひとりでにうねうね動き、私に絡み付いてきました。どうやら本物らしく、私は近くの木にしがみついて足でふりほどこうとしました。 この2匹はダライアスツインの2ステージボス(empire fossile,queen fossile)にそっくりでした。ふぎゃあ!と思って木から転げおち、阿修羅像の近くに落っこちました。どうやら噛まれはしなかったよう。傍らを見ると、直径50センチほどの深い穴が開いています。その穴がこれら遺産の中でもっとも有名な、底なし穴です。深すぎて測定できない穴なので、落ちなくてよかったとほっとしました。 フィンランドの寂れた街にもいきました。本当に寂れていて、空は晴れていても、空気は冷え込み澱んでいます。見えるのはくすんだ低い建物と道路ばかり。街の中心は狭い丸い広場で、枯れた噴水のまわりがロータリーになっているためバスやタクシーが大量にぐるぐる回っています。それらの排気ガスでくずや木の葉も足元を周回しています。そしてこの街はすべてがスローペースに、人も乗り物も同じ方向にゆったり回っているかんじがして、視界がカメラのシャッターを長めにしたような、ぼんやりした残像になってきて最初は頭がくらくらしました。 とりあえず私は目の前の店に入りました。ガラス戸をあけると、中には照明ひとつない、ほこりの臭いがする古道具屋のようでした。店の奥には狭くて入れませんが、カウンターには禿げ頭の白髪の、おなかのでっぱったおっさんがいました。どちらかというと不健康そうで、首筋と手は筋張っています。冷え込んでいるのにニットのベスト一枚なので、手の甲や頬はやや赤紫になっていました。眼は薄い青で、にこやかとは程遠い、卑屈さと冷徹さを思わせる目つきがこの街の空気に合致してくるようです。私は手元のトレーに入った売り物のブレスレットをとりました。白と赤の丸いプラスチックのビーズで、数珠のようにいじり始めました。おっさんは、「これは60年代のものだ」とか何とか、言葉少なげに、かつ穿ったような態度でものを言ってきましたが、ビーズにはスマイルマークのような模様があり、どう見ても安物だし、自分の好みでないのがわかったのでそれをもとの場所に戻しました。このまま店を出ると非難がましい態度をとられそうなので、私は視線をおっさんのいる横、スエードの壁掛け一面にひっかけられたボヘミアン風のピアスを眺め、その中からワインレッドの羽根のついたもの、真鍮のプレートがついたものを選んでお土産にしました。 店を出ると、茶色いタクシーが泊まっていたのでホテルまで向かいました。この街は小さすぎてホテルも小規模で数少なく、中庭のあるところはないと説明されました。 ロータリーを抜けると、国道にでました。日本のどっかの国道にそっくりで、広い道の脇には大きな雑貨屋やレストランがところどころに現れます。日本から進出したのか、LOFTの黄色い建物が見えました。 15時を過ぎると外は暗くなり、ホテルに着きました。車が3台ほど停まるスペースがあり、ロビーはガラス越しに見えますが、テーブルやソファー、カウンターは暗い色で統一されており、薄暗いので寒々しさが抜けないような気がしました。車から降りると、ホテルの受付の年配の女性がにこやかに外に出て、出迎えてくれました。また、ロビーにこの時一人だけいた、5,6歳の少女も飛び跳ねてこちらへ向かってきました。赤のざっくり編んだマフラーと、少女のから元気な態度が、今日見たなかでいちばんあたたかそうなものだなあと感じました。

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